片岡 靖隆

学長補佐学長補佐
研究院自然科学系化学領域教授
環境安全管理センター環境安全管理センター長
Last Updated :2025/05/10

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プロフィール情報

  • 片岡, カタオカ
  • 靖隆, ヤスタカ

学位

  • 博士(工学), 京都大学

研究分野

  • ナノテク・材料, 有機合成化学

経歴

  • 2005年03月, 奈良女子大学理学部教授
  • 2002年02月, 大阪大学大学院基礎工学研究科助教授
  • 2000年07月, 大阪大学大学院基礎工学研究科講師
  • 1997年04月 - 1998年09月, 日本学術振興会海外特別研究員(米国マサチューセッツ工科大学化学科、Buchwald 教授)
  • 1998年09月, 大阪大学大学院基礎工学研究科助手
  • 1992年04月, 大阪大学基礎工学部助手
  • 1990年04月 - 1992年03月, 日本学術振興会特別研究員

学歴

  • 1992年, 京都大学, 工学研究科, 工業化学専攻
  • 1987年, 京都大学, 工学部, 工業化学科

担当経験のある科目(授業)

  • 有機化学外国語特論Ⅱ, 奈良女子大学
  • 有機立体化学, 奈良女子大学
  • 基礎化学Ⅳ, 奈良女子大学
  • 脂肪族有機化学, 奈良女子大学
  • 機器分析法2, 奈良女子大学
  • 機能性分子変換論演習, 奈良女子大学
  • 機能性分子変換論, 奈良女子大学
  • 反応化学セミナーⅠ, 奈良女子大学
  • 有機合成化学, 奈良女子大学
  • 化学基礎実験2, 奈良女子大学
  • 有機物構造決定法, 奈良女子大学
  • 有機反応論, 奈良女子大学
  • 化学専門実験2, 奈良女子大学
  • 有機化学通論1, 奈良女子大学

所属学協会

  • 日本化学会
  • 錯体化学会
  • 近畿化学協会
  • 米国化学会

■Ⅱ.研究活動実績

論文

  • 査読あり, 英語, Organometallics, American Chemical Society (ACS), Synthesis of Pd-NNP Phosphoryl Mononuclear and Phosphinous Acid-Phosphoryl-Bridged Dinuclear Complexes and Ambient Light-Promoted Oxygenation of Benzyl Ligands, Yuma Shigehiro; Karen Miya; Risa Shibai; Yasutaka Kataoka; Yasuyuki Ura, 2022年09月26日, 41, 19, 2810, 2821, 研究論文(学術雑誌), 10.1021/acs.organomet.2c00399
  • 査読あり, 英語, Organic & Biomolecular Chemistry, Royal Society of Chemistry (RSC), Synthesis of 2-hydroxytetrahydrofurans by Wacker-type oxidation of 1,1-disubstituted alkenes, Rina Tanaka; Saki Komori; Yuhei Shimizu; Yasutaka Kataoka; Yasuyuki Ura, 2021年12月22日, 20, 3, 570, 574, 研究論文(学術雑誌), 10.1039/d1ob02277f
  • 査読あり, 英語, Asian Journal of Organic Chemistry, Wiley, Palladium‐Catalyzed Aerobic α,β‐Dehydrogenation of Carboxylic Acids, Ayaka Shibatani; Yasutaka Kataoka; Yasuyuki Ura, 2021年10月13日, 10, 12, 3285, 3289, 研究論文(学術雑誌), 10.1002/ajoc.202100637
  • 査読あり, ChemCatChem, Palladium/Copper-catalyzed Oxidation of Aliphatic Terminal Alkenes to Aldehydes Assisted by p-Benzoquinone, Saki Komori; Yoshiko Yamaguchi; Yuka Murakami; Yasutaka Kataoka; Yasuyuki Ura, 2020年08月06日, 12, 15, 3946, 3955, 研究論文(学術雑誌), 10.1002/cctc.202000472
  • 査読あり, Chem. Commun., Secondary Phosphine Oxide-triggered Selective Oxygenation of a Benzyl Ligand on Palladium, Oka, Sayaka; Shigehiro, Yuma; Kataoka, Yasutaka; Ura, Yasuyuki, 2020年, 56, 12977, 12980
  • 査読あり, 英語, ORGANOMETALLICS, AMER CHEMICAL SOC, Preferential geometry and reactivity of neutral iridium(III) and rhodium(III) complexes bearing a flexible heterochelate PN ligand (PN = o-Ph2PC6H4CH2OCH2C5H4N-2), Takeshi Hara; Tsuneaki Yamagata; Kazushi Mashima; Yasutaka Kataoka, 2007年01月, 26, 1, 110, 118, 研究論文(学術雑誌), 10.1021/om060405d
  • 査読あり, 日本語, Organometallics, 米国化学会, Synthesis of Pd-NNP Phosphoryl Mononuclear and Phosphinous Acid-Phosphoryl-Bridged Dinuclear Complexes and Ambient Light-Promoted Oxygenation of Benzyl Ligands, 41, 2810, 2821
  • 査読あり, 英語, Org. Biomol. Chem., 英国王立化学会, Synthesis of 2-hydroxytetrahydrofurans by Wacker-type oxidation of 1,1-disubstituted alkenes, 20, 570, 574
  • 査読あり, 英語, Asian J. Org. Chem., Palladium-Catalyzed Aerobic α,β-Dehydrogenation of Carboxylic Acids, 10, 3285, 3289
  • 英語, Chem Commun, 英国王立化学会, Secondary Phosphine Oxide-triggered Selective Oxygenation of a Benzyl Ligand on Palladium, 2020年年 月10日, 56, 12977, 12980, OI: 10.1039/D0CC05572G

MISC

  • 査読無し, 英語, 2006年05月, 25, 10, 2505, 2513, 10.1021/om051065j
  • 査読無し, Organometallics, Oxidative Addition of RCO2H and HX to Chiral Diphosphine Complexes of iridiumu(I): Convenient Syntheses of Mononuclear Halo-Carboxylate Iridium(III) Complexes and Cationic Dinuclear Triply Halogen-Bridged iridium(III) Complexes and their Catalytic Per・・・, 片岡 靖隆; T. Yamagata; H. Tadaoka; M. Nagata; T. Hirao; Y. Kataoka; V. Ratovelomanana-Vidal; J. P. Genet; K. Mashima, Oxidative Addition of RCO2H and HX to Chiral Diphosphine Complexes of iridiumu(I): Convenient Syntheses of Mononuclear Halo-Carboxylate Iridium(III) Complexes and Cationic Dinuclear Triply Halogen-Bridged iridium(III) Complexes and their Catalytic Performance in Asymmetric Hydrogenation of Cyalic Imines and 2-Phenylquinoline, 2006年, 25, 10, 2505, 10.1021/om051065j
  • 査読無し, 英語, 2004年12月, 6, 25, 4695, 4697, 10.1021/ol048101f

書籍等出版物

  • O-H Bond Activation and Addition to Unsaturated Sysems, Wiley-VCH, 片岡靖隆, 分担, 2001年, 171-213, 英語, 査読無し

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 基盤研究(C), 2008年 - 2010年, 20550097, 不斉結合活性化反応を指向した着脱可能部位を有する分子性金属触媒の開発, 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 奈良女子大学, 4810000, 3700000, 1110000, 高選択的かつ高効率な不斉合成反応および結合活性化反応を融合した反応系に有効な遷移金属錯体触媒開発のため,インデニル基とホスフィンオキシド基がアルキレン鎖で架橋された二座配位子であるInd-PO配位子とインデニル基とN-ヘテロサイクリックカルベンがアルキレン鎖で架橋された二座配位子であるInd-NHC配位子を設計し,そのイリジウム錯体を合成した。また,その触媒能を評価した。, kaken
  • 基盤研究(C), 2003年 - 2005年, 15550091, 金属上に不斉点を有する新規金属錯体を利用した不斉炭素-水素結合活性化反応の開発, 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 3700000, 3700000, 本研究の目的は、Cp'-P配位子を利用した金属上に不斉点を有する遷移金属錯体を用いた不斉触媒反応の開発であり、ターゲットとする反応は、不斉合成を絡めた任意の炭素-水素結合の切断およびその官能基化である。平成15年度から17年度までの本研究により下記に示す成果が得られた。
    1.インデニル基と光学活性オキサゾリン環がアルキレン鎖で繋がれた配位子(Indox配位子)を新たに設計・合成した。また、Indox配位子を有するビスクロロロジウムIII価、イリジウムIII価錯体を合成した。さらに、Indox配位子のオキサゾリン環中の窒素部位のHemi-labile的な挙動を利用した配位子交換反応を行い、金属上に不斉点を有するカチオン性のロジウムIII価、イリジウムIII価錯体の立体選択的な合成に成功した。
    2.これまで我々のグループで開発し研究を進めてきたCp'-P配位子を有するロジウムI価カルボニル錯体に対するMeerwein試薬の酸化的付加反応を検討し、金属上に不斉点を有するカチオン性のロジウムIII価メチルカルボニル錯体の立体選択的な合成に成功した。従来同様の錯体は、カルボニル錯体にヨウ化メチルを酸化的付加させて後、銀塩でヨウ素を引き抜くことにより合成していた。今回開発した反応を用いると、1段階でかつ高選択的にカチオン性のロジウムIII価錯体を合成できることがわかった。
    3.合成したロジウム・イリジウム錯体に対するハロゲン化アリル誘導体の酸化的付加反応を検討した。その結果、ハロゲン化アリル誘導体として臭化アリルを用いた場合、予想されたアリロイル錯体ではなくexo型のカチオン性π-アリル錯体が選択的に得られることがわかった。中間体であるアリルカルボニル錯体からアリル基の転移反応がおきる前に、カルボニル基の脱離反応が進行したものと考えられる。, kaken
  • 基盤研究(A), 2000年 - 2001年, 12355032, メタノールを水素源とする触媒的水素化ならびに実践的不斉水素化の開発と実用化, 谷 一英; 山縣 恒明; 片岡 靖隆; 真島 和志; 作用 昇; 雲林 秀徳, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 35320000, 32800000, 2520000, 本研究ではO-H結合活性化について幅広い観点から検討を行った。まず、[IrCl{(S)-binap}]_2(1)がメタノールを容易に活性化でき、錯体1あるいはそのメタノール付加体がメタノールを水素源とするアセチレン類の水素化触媒として有効であることを明らかにした。これらはプロキラルなオレフィンの不斉水素化触媒にも利用できるが、活性が十分でなく、不斉収率もデヒドロアミノ酸類の還元でせいぜい50%ee程度であった。錯体1は種々のカルボン酸をも容易に活性化し、可能な5種類の立体異性体のうち単核のヒドリド(カルボキシラト)錯体,(S)-OC-6-23-A-[Ir(Cl)(H)(η^2-O_2CR){(S)-binap}](R=Me, Ar)(2),を定量的かつ立体選択的に与えた。また、錯体2はイミン類、特に環状イミンの不斉水素化の優れた触媒となり、99%ee以上の不斉収率が達成された。今後、詳しい反応機構の検討が必要である。「中性ロジウム-ジホスフィン触媒」,"RhCl(diphosphine)",はin situで合成され、様々な触媒反応の前駆体として利用されてきた。しかし、単離、同定された例はごく希で、その詳しい性質、反応性はよく分かっていない。今回錯体1のロジウム同族体、[RhCl{(S)-binap}]_2(3)、を単離、同定し、そのX-線構造解析に成功した。錯体3は錯体1と非常に似通った構造をしていることが明らかになったが、その反応性は全く異なったもので、錯体1が空気、水などに非常に不安定なのに対し、錯体3は加熱条件下でも水、メタノール、カルボン酸などとは反応しない。しかし、分子状水素の活性化には有効と思われるので今後、本錯体の性質、反応性についての詳しい検討が必要である。また、なぜロジウム錯体とイリジウム錯体とで反応性が大きく異なるのかが解明できるとこれら錯体の触媒反応へのさらなる応用が期待できる。
    その他、A.Togni等の編集になるWiley-VCH社発刊の単行本、"Catalytic Heterofunctionalization"、にO-H結合活性化に関する総説を招待寄稿した。, kaken
  • 基盤研究(C), 1999年 - 2001年, 11650894, 面不斉を有するシクロペンタジエニル配位子を利用した新規触媒反応の開発, 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 3400000, 3400000, Cp'-P配位子は、シクロペンタジエニル誘導体とホスフィノ基が適当なキレート鎖で繋がれた配位子である。私はこれまで、スペーサー上に不斉点を有する第1世代Cp'-P配位子、および、金属に配位するとインデン環の配向により面不斉が発生する第2世代Cp'-P配位子を合成し、その性質を明らかにしてきた。その結果、インデン環が中心金属に配位することにより発現する面不斉が金属上の不斉中心の制御に非常に効果的であることを見いだした。本研究ではこれらの知見をさらに発展させ、インデン環に光学活性置換基を導入した第3世代のCp'-P配位子を新たに設計し合成することにより、面不斉と中心性不斉との融合による新たなより効率の良い金属中心の立体制御方法の確立を目指した。また、その錯体化学的手法により得られた知見をいかし、立体特異的かつ立体選択的な新たな有機合成反応を開発し、さらには不斉触媒反応の開発へと展開することを計画し以下の研究成果を得た。
    1つめは、第3世代のCp'-P配位子を設計し、その性質を明らかにした。例えば、Cp'-P配位子として、ネオイソメンチル基のような光学活性置換基を有するインデン環とジフェニルフォスフィノ基を有するもの(第3世代のCp'-P配位子)を用いると、ロジウムカルボニル化合物に対するハロゲン化アルキルの酸化的付加反応によって、発生するロジウム上の不斉点が、この置換基の中心性不斉と、インデン環上に発生する面不斉の共同作用により、高度に制御することができることがわかった。2つめは、金属周りの立体化学の安定性について興味深い知見が得られた。3脚いす形の錯体は、金属周りの立体化学に関しあまり安定ではない、すなわち容易にラセミ化するといわれている。Cp'-P配位子を用いると金属周りの不斉点は安定に存在することができ、金属周りの立体化学を保持したままの変換反応に利用することができる。この性質を利用すると、カルボニル基のMigratoryl insertionおよびretro-Migratory insertionにおいて、立体特異的にアルキル基が移動していることを明らかにすることができた。3つめは、Cp'-P配位子が有する歪みのエネルギーが新たな反応性を生み出すことができたという点である。Cp'-P配位子を有するカチオン性ロジウム錯体を用いると、アルキンのローダアシレーション反応が容易に進行し、さらに4置換オレフィンの生成反応へ展開することができた。この反応は、Cp'-P配位子配位子が存在しないと進行しない。, kaken
  • 基盤研究(B), 1998年 - 2000年, 10440207, 非線形光学特性に優れた有機金属共役系の構築, 真島 和志; 片岡 靖隆; 山縣 恒明, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 12700000, 12700000, 課題1:有機金属共役電子系の構築
    1-1.Mo_2Pd_2四核錯体の合成と反応性
    両端にゼロ価のパラジウムを持つMo_2Pd_2四核錯体は、室温でジクロロメタンの酸化的付加反応が進行し、両末端のパラジウムが2価の4核錯体Mo_2Pd^_2Cl_2(CH_2Cl)_2(pyphos)_4(1)が得られた。
    1-2.Mo_2Ir_2四核錯体の合成と反応性
    新規のMo^_2Ir^I_2四核錯体2を合成反応性をRXとの反応性を解明した。
    課題2:有機金属共役電子触媒の構築
    2-1.タンタル錯体触媒による重合反応
    5族金属ジエン錯体を触媒前駆体として用いることにより、エチレンのリビング重合の触媒となることを見いだした。
    2-2.タンタル錯体触媒による極性モノマーのリビング重合
    われわれは、メタクリル酸メチル(MMA)の重合触媒として、モノマーであるMMAを配位子とするタンタル錯体を開発し、リビング重合が進行することを見いだした。具体的には、[Cp^*TaCl_2]_2と1当量のMMAを反応させることにより、タンタル-MMA錯体Cp^*Ta(MMA)Cl_2(3)を合成した。次に、錯体3と1当量のマグネシウム-ブタジエン化合物を反応させることにより、ブタジエン-MMA錯体Cp^*Ta(diene)(MMA)(4)を得た。錯体3と1当量のLi_2(R_2-dad)(thf)_4を反応させ、ジアザジエン-MMA錯体Cp^*Ta(Cy_2-dad)(MMA)(5)を得た。いずれの錯体でも、MMA配位子はη^4-配位様式でタンタルに配位している。タンタル-MMA錯体4および5に1当量のアルキルアルミニウムを添加した系はMMAの重合触媒となり、シンジオリッチなポリマー(rr=70〜%)が生成した。アルキルアルミニウムの添加により、タンタルのエノラート錯体が生成し、重合が進行したと考えられる。, kaken
  • 基盤研究(A), 1997年 - 2000年, 09309006, 有機遷移金属錯体の特性に根ざした選択的新反応、新触媒反応の開発, 谷 一英; 山縣 恒明; 片岡 靖隆; 真島 和志, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 31000000, 31000000, 本研究では新規選択的有機合成や均一系触媒反応の開発を念頭に置いて前周期から後周期にわたる新しい有機遷移金属化合物の開発とそれらの示す新しい特性の発見を目指して研究を展開した。
    (1)パーアリールジホスフィンを配位子とする中性イリジウム2核錯体[Ir(diphosphine)Cl]_2がアルコールなどのO-H結合を容易に活性化でき、メタノールを水素源とする水素移動型還元反応の良好な触媒となることを明らかにした。(2)2価バナジウム化合物を反応剤とするカルボニル化合物の選択的なアルキル化、アリル化、C-O結合切断を伴ったC-C結合生成反応を見いだした。(3)超原子価化合物Tp^*SnR_mCl_<3-m>{Tp^*=ヒドロトリス(ピラゾリル)ボレート誘導体;R=アルキル基}を反応剤とするTP^*MCl_nL_o(M=4-6族遷移金属)型化合物の一般的合成法を確立した。(4)新たに開発したシクロペンタジエニル誘導体とホスフィノ基がキレートした新規光学活性Cp'-P配位子により面不斉および金属周りの立体を制御した錯体形成が可能となった。また、そのロジウム錯体を触媒とするアセチレンから、立体選択的なα,β-不飽和ケトンを合成する触媒サイクルを構築した。(5)ジフェニルホスフィノ基と2-ピリジル基をエーテル結合を含むアルキレン鎖で結合した柔軟な配位構造をとりうる新規P-N配位子を合成し、そのイリジウム錯体を用いてC(sp^3)-H結合の金属への可逆的な酸化的付加、還元的脱離を直接観察した。(6)様々な置換基を有する1,4-ジアザジエンを配位子とするニオブおよびタンタル錯体を系統的に合成し、それら5族金属錯体が極性モノマーの重合触媒となることを初めて明らかにした。また、配位子の種類を選ぶことにより、1,4-ジアザジエンの配位形式(planar σ^2-配位、proneおよびsupine nonplanar σ^2,π-enediamide配位)、得られるポリマーの立体規則性、分子量分布を制御できることを明らかにした。, kaken
  • 特定領域研究(A), 1998年 - 1998年, 10125222, 炭素-ヘテロ原子二重結合の錯体触媒を用いた不斉水素化, 谷 一英; 山縣 恒明; 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 2100000, 2100000, 1. 我々は、イリジウム(I)-BINAP(2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1.1'-ピナフチル)-1級または2級アミンからなる触媒系がメタノール中イミンの不斉水素化に効果的であることを見いだしている。この触媒反応の反応機構解明のため、触媒系の前駆体である、[IrCl(binap)]_2と種々のプロトン性化合物との反応を検討した。その結果、メタノール、水、カルボン酸、チオールのO-H結合あるいはS-H結合が活性化され、イリジウムに酸化敵付加したカチオン性のヒドリド(メトキソ)、ヒドリド(ヒドロキソ)、ヒドリド(カルボキシラート)、およびヒドリド(チオラート)二核イリジウム(I)錯体が高取率で得られた。
    2. [IrCl(binap)]_2と触媒系の添加剤である1級ベンジルアミンおよび、その誘導体との反応を検討した。[IrCl(binap)]_2とベンジルアミン誘導体を、トルエン溶媒中70℃で3時間反応させると、オルトメタル化したヒドリドアリール錯体のジアステレオマー混合物が、白色粉末として定量的に得られた。その構造を^1Hおよび^<31>P{^1H}NMRスペクトル、2次元COSYおよびNOESYを用いて明らかにした。
    3. ヒドリド(カルボキシラート)イリジウム(I)錯体を用いると、6員環環状イミンの不斉水素化において最高93%代の高い光学収率で対応するアミンが得られた.この錯体を用いると従来必要であった活性な触媒系創出のための前処理が必要でなくなる。また、アミンを添加しなくても高収率、高選択的に水素化反応が進行するので、生成物であるアミンを簡便に単離することができた。また、この触媒系は基質に対する特異性が高く、目的の炭素ー窒素二重結合のみを選択的に還元することができる., kaken
  • 重点領域研究, 1997年 - 1997年, 09231232, 炭素-ヘテロ原子二重結合の錯体触媒を用いる不斉水素化, 谷 一英; 山縣 恒明; 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 2000000, 2000000, Ir(I)/BINAP or tol-BINAP/RNH_2 or RR'NHからなる触媒系がメタノール溶媒中イミンの良好な不斉水素化触媒となることを明らかにした。高い不斉収率の達成には一級あるいは二級アミンの添加が必須であるが、添加アミンのキラリティーは不斉収率には全く影響を与えなかった。また、反応を再現性よく進行させるためには触媒を調整した後室温、アルゴン下で1時間程度のインキュベーションが必要である。鎖状イミンの還元では最高77%eeの不斉選択性が達成出来たが、幾何異性体の存在しない環状六員環イミン2-pheny1-3,4,5,6-tetrahydropyridineでは90%eeと非常に高い不斉収率が達成された。窒素原子上に光学活性α-phenethy1基を有するキラルイミンを基質に用いると、鎖状イミンでも最高99%deの非常に高いジアステレオ選択性で光学活性アミンが得られた。α-phenethy1基は加水素化分解で容易に除去出来るのでプロキラルなケトンと入手容易な光学活性α-phenethylamineから高い光学純度の種々の光学活性アミンが得られることになる。本触媒系の活性種の情報を得るため[IrCl(cod)]_2とBINAPとの反応で空気に非常に不安定で反応活性な塩素架橋2核錯体[IrCl(binap)]_2の単離に成功し、そのX-線構造解析を行った。また本錯体は種々のプロトン性分子を容易に活性化し、例えば室温でメタノールを酸化的付加し、ヒドリド(メトキソ)錯体[{Ir(H)(binap)}_2(μ-OMe)_2(μ-Cl)]Clを高収率で与えることを見出し、そのX-線解析で構造を明らかにした。これらの錯体はいずれも本触媒反応の活性種と深くかかわった錯体と考えられる。, kaken
  • 奨励研究(A), 1996年 - 1996年, 08751006, 低原子価バナジウムを用いた脱酸素・脱硫黄を伴う炭素骨格構築反応, 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 1000000, 1000000, 低原子価バナジウムを用いた、カルボニル化合物からの脱酸素を伴う炭素-炭素単結合が生成するカップリング反応の開発に成功した。カルボニル化合物にグリニヤール反応剤やアルキルリチウムを反応させ調製したアルコキシマグネシウム、あるいはリチウム錯体に2価のバナジウムを作用させアルコキシバナジウムを系中に発生させる。そこに、触媒量の分子酸素存在下加熱環流すると、脱酸素を伴ったカップリング反応が進行する。本反応の特徴は次の2点である。まず1点目は、いわゆる前周期遷移金属を用いたカルボニル化合物のカップリング反応は、炭素-炭素2重結合ができるのに対し、本反応では、炭素-炭素単結合が生成するところである。2点目は、触媒量の分子酸素を必要としていることである。酸素が存在しないとこのカップリング反応は進行しない。また、酸素の量が多すぎても進行しない。様々なバナジウム錯体を検討した結果、脱酸素には低原子価のバナジウムと触媒量の高原子価のバナジウムの両方が必要であることがわかった。
    この反応を脱硫黄を伴うカップリング反応に応用した。ベンジルチオールのリチウム塩に2価のバナジウムを作用させ加熱環流すると脱硫黄を伴ったカップリング反応が進行する。また、反応系中にα,β-不飽和ケトンを共存させると、脱硫黄を伴ったマイケル付加反応が進行した。現在のところ、反応が進行するチオールはα-置換ベンジルチオールに限られている。今後、窒素系の不斉配位子をバナジウムに導入し、不斉反応へ応用する予定である。, kaken
  • 奨励研究(A), 1995年 - 1995年, 07750954, 低原子価バナジウムを用いる四級炭素形成反応の開拓., 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 900000, 900000, 低原子価の金属を用いたカルボニル化合物のモノアリル化反応は、莫大な研究例があり、その成果は、ほぼ完成の域に達しているといっても過言ではない。しかし、低原子価のバナジウムを用いたアリル化反応の例はない。その理由として、II価のバナジウムは、臭化アリルを容易に還元する能力を有しているが、それにより生成するアリルバナジウム化合物は非常に不安定で、すぐ臭化アリルの二量化反応が進行する、と言うことがあげられる。低原子価バナジウムと臭化アリルの組み合わせによる反応を設計するとき、いかにアリルバナジウムを安定に系中に発生させるか、また、いかに二量化する前に反応を起こさせるか、と言う問題点を解決しなくてはならない。これらのことを踏まえ、臭化アリルとII価のバナジウムとの組み合わせについて検討した結果、カルボニル化合物から酸素の脱離を伴い一段階でカルボニル炭素を四級炭素に変換する方法を見いだした。
    プロピオフェノンにMeMgBrを作用させた後、単離可能な単核のII価のバナジウム錯体VCl_2(tmeda)_2と臭化アリルを加え加熱還流すると、プロピオフェノンのカルボニル基の酸素が脱離し、メチル基とアリル基が導入された四級炭素生成物が得られた。反応機構は次のように考えられる。まず、プロピオフェノンとMeMgBrから生成するアルコキシマグネシウムと二価のバナジウムが金属変換しアルコキシバナジウムができる。それが臭化アリルを還元しアリルアルコキシバナジウムが生成する。その後、バナジウムが酸素を伴って脱離し分子内でカップリング反応が生じ、四級炭素化合物ができる。本反応は、他の価数(三価、四価)のバナジウム錯体やクロム、チタンなどの他の低原子価金属を用いても全く進行せず、バナジウム二価特有の反応であることが分かった。今後、不斉配位子を有するバナジウム錯体を合成し、不斉反応に応用する予定である。, kaken
  • 重点領域研究, 1995年 - 1995年, 07214220, 新規光学活性シクロペンタジエニル錯体の合成と不斉触媒への応用, 谷 一英; 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 1900000, 1900000, 我々はシクロペンタジエニル基とホスフィノ基がL-threitol誘導体の骨格でキレートされた新規光学活性二座配位子を開発し、そのルテニウム錯体がアセチレン化合物とアリルアルコールの不斉カップリング反応に応用できることを明らかにしてきた。今回はまず、光学活性Cp-p配位子を有する(Cp-P)RuCl(PPh^3)とNaOMeから調製したCp-Pルテニウムヒドリド錯体(Cp-P)RuH(PPh^3)を触媒とし、メチルビニルケトンへのα-シアノエステルのマイケル付加反応を検討した。高い触媒活性を示したが、不斉誘導は見られなかった。この原因として、触媒の原料として(Cp-P)RuCl(PPh^3)のジアステレオマ-混合物を用いたこと、及び不斉点が反応点から離れていることなどが考えられる。
    そこで次に、不斉点をより反応点の近傍に持ってくることを目的とし、アルキル鎖でキレートしたCp-P配位子を利用して金属中心上に不斉点を有する遷移金属錯体の合成を検討した。インデニル環を有し単純なアルキル鎖でキレートされたCp-P配位子のロジウムカルボニル錯体にハロゲン化アルキルを反応させるとロジウム(III)アシル錯体が得られた。このアシル錯体には、面不斉とロジウム周りの中心性不斉によるジアステレオマ-が存在する。ハロゲン化アルキルとしてヨウ化エチルを用いると、一方のジアステレオマ-がほぼ選択的に得られた。また、反応性、および立体選択性がCp-P配位子の性質の違いにより大きく変化することがわかった。キレート鎖の短いもの、および、リン上の置換基がシクロヘキシル基より塩基性の低いフニル基を有するCp-P配位子を用いた方が高い反応性を示した。また、立体選択性はリン上の置換基にはあまり影響されず、キレート鎖の長い方が高くなる傾向があった。今後、ジアステレオマ-の分割を行い、金属上に不斉点を有するステニウム錯体を合成する。, kaken
  • 一般研究(B), 1994年 - 1995年, 06455012, 特異な触媒活性の期待できる新規ハイブリッドキレート配位子遷移金属錯体の開発, 谷 一英; 山縣 恒明; 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 5200000, 5200000, 本研究ではP-N,Cp-P,C-N等のハイブリッドキレート配位子を有する遷移金属錯体の合成、構造、反応性に関する基礎的な研究を行うと共に触媒反応への応用も検討した。先ずホスフィンとピリジンを含む新規P-Nキレート配位子としてPh_2P-o-C_6H_4CH_2O(CH_2)_n-2-C_5H_3N(n=1,2,3)を開発し、そのパラジウムおよび白金錯体を合成した。キレート長により選択的にcis-およびtrans-pdCl_2(PN)錯体を合成できること、これまでに最も短いPd-Pd結合を有するPd(I)錯体が合成できることを明らかにした。なおここで得られたtrans-PdCl_2(PN)は構造が明らかにされたトランスP-Nキレート配位子を有する錯体の最初のものである。またアセチレン酸へのアルコールの立体選択的付加反応にカチオン性白金錯体が有効な触媒となることを見いだし、触媒反応の中間体に相当するα-ビニル錯体の単離に成功し、その生成機構を明らかにした。シクロペンタジエニル基またはインデニル基と3級ホスフィノ基をL-threitol誘導体で連結した新規光学活性Cp-P配位子を合成し、ルテニウムおよロジウム錯体を合成した。その反応性を調べると共に末端アセチレンとアリルアルコールとの触媒的不斉炭素-炭素結合生成反応に成功した。またアキラルなCp-P配位子として骨格の長さを異にするCpH(CH_2)_nPPh_2(Cp=C_5H_4または2-C_9H_6;n=2,3,4)の一般的な合成法を確立し、その遷移金属錯体の化学を検討した。その結果インデニル基を有するRhCl(CO)(Cp-P)錯体に対するハロゲン化アルキルの付加反応がヨウ化エチルを用いるとほぼ立体選択的に一方のジアステレオマ-のみを与えることを見いだした。このことを利用して金属原子上に不斉中心を有する光学活性錯体を合成し、不斉触媒反応へ応用する予定である。その他光学活性C-Nキレート配位子を有するパラジウム錯体と我々が開発したヘリカルキラリティーを有するラセミ体のホスホール誘導体との立体選択的な反応を見いだした。, kaken
  • 重点領域研究, 1994年 - 1994年, 06225222, 新規光学活性シクロペンタジエニル錯体の合成と不斉触媒反応への応用, 谷 一英; 山県 恒明; 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 2000000, 2000000, 我々は新しいタイプの光学活性配位子として、シクロペンタジエニル基(Cp)とヘテロ原子(L)がキレートされた光学活性二座配位子(Cp-P配位子)を開発し、このCp-P配位子を有する遷移金属錯体の合成と不斉触媒反応への応用を検討している。昨年、Cp-P配位子およびそのロジウム錯体の合成を報告した。今回、Cp-P配位子を有するルテニウム錯体を合成し、それをアセチレン化合物とアリルアルコールの不斉カップリング反応に応用した。
    1、Cp-P配位子を有する光学活性ルテニウム錯体の合成
    光学活性Cp-P配位子とRuCl_2(PPh_3)_3を反応させルテニウム錯体1を合成した。得られた錯体は、ルテニウム回りの絶対配置の違いによる2種(59:41)のジアステレオマ-混合物であった。
    2、Cp-P配位子を有するルテニウム錯体の不斉触媒反応への応用
    カチオン性ルテニウム錯体触媒によるアセチレン化合物とアリルアルコールのカップリング反応に、今回合成したCp-p配位子を有するルテニウム錯体1(ジアステレオマ-混合物)を応用した。末端アセチレンとアリルアルコールの混合物に対し、ルテニウム錯体1とNH_4PF_6から調整したカチオン性ルテニウム錯体を作用させると、光学活性ケトン2が得られた。この時、副生成物として、γ,δ-不飽和ケトン3の異性体混合物が生成した。反応の詳細及び2の光学収率に関しては現在検討中である。, kaken
  • 奨励研究(A), 1993年 - 1993年, 05855136, 新規複合配位子を有する遷移金属錯体を用いた不斉触媒反応の開拓., 片岡 靖隆, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 800000, 800000, 本研究は不斉触媒反応への応用を目指し、シクロペンタジエニル誘導体(Cp)とホスフィノ基(P)がキレートされた配位子(Cp-P配位子)を設計し、その遷移金属錯体の合成を目的とした。今回まず、アキラルな炭素鎖でキレートされたCp-P配位子(1)と、光学活性Cp-P配位子(2)の一般的な合成法を確立した。これらのCp-P配位子のリチウム塩[Rh(CO)_2Cl]_2を反応させCp-P配位子を有する単核のロジウム錯体(3)を合成した。シクロペンタジエニル誘導体としてインデニル基を有するCp-P配位子(2b)を用いると、光学活性ロジウム錯体(4a)が黄色結晶性粉末として高収率で得られた。しかし、この錯体はインデン環の配向の違いによるジアステレオマ-の混合物で、現在その分離には成功していない。シクロペンタジエニル基を有するCp-P配位子(1a,2a)を用いると、生成するロジウム錯体は不安定なため収率よく単離することはできなかった。また、これらのロジウム錯体に光を照射すると、配位していた一酸化炭素が解離することを確認した。これを利用すると不斉触媒反応の開発が可能である。RuCl_2(PPh_3)_3を用いると同様の方法により単核のルテニウム錯体(5)を合成することができた。ルテニウムの場合は、どのCp-P配位子(1、2)を用いてもルテニウム錯体を単離することができた。, kaken
  • 重点領域研究, 1993年 - 1993年, 05234217, 新規光学活性シクロペンタジエニル錯体の合成と不斉触媒反応への応用, 谷 一英; 片岡 靖隆; 巽 和行, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 大阪大学, 2400000, 2400000, 本研究は新規光学活性キレートハイブリッド配位子の開発とその不斉触媒反応への応用を目的とした。そのため先ず、アキラルな配位子としてシクロペンタジエニル基(Cp)とホスフィノ基(PR_2)を種々の長さのメチレン鎖で結合したCp-P配位子1a-cの合成法を確立し、ついで光学活性Cp-P配位子として2種の光学活性骨格を有する2a-b,3を合成した。これらのCp-P配位子はいづれも空気に不安定な無色オイルとして得られ、スペクトル及び分析で同定した。合成したCp-P配位子と[Rh(CO)_2Cl]_2の反応で4,5などのいくつかの単核ロジウム錯体を合成し、スペクトルで同定した。シクロペンタジエニル誘導体としてインデニル基を用いると光学活性錯体5が黄色結晶性粉末として高収率で得られたが、インデン環の配向の違いによるジアステレオマー混合物が得られ、現在その分離には成功していない。, kaken
  • 遷移金属錯体を利用した有機合成反応の開発, 0, 0, 0, 競争的資金
  • 有機金属錯体の合成, 0, 0, 0, 競争的資金